米粉パンは、小麦粉に比べてグルテンの形成がないため、発酵時間が短くても美味しいパンを作ることができます。
しかし、低温で長時間発酵させるオーバーナイト製法を使うと、より手軽に作ることができます。
低温発酵とは?

低温発酵とは、通常の発酵温度(25~30℃)よりも低い温度(15~20℃)で発酵させる方法です。
低温で発酵させると、酵母の活動が抑制されるためゆっくりと発酵が進みます。
低温発酵の流れ

- 材料を入れ生地を捏ねる。
- 一次発酵を行う
- 生地をボウルに入れて霧吹きをし、乾燥しないようにラップをかける。
- そのまま冷蔵庫の野菜室に入れる。
低温発酵した生地を復温する方法

低温発酵した生地を復温させるとは、冷蔵庫から出した生地の温度を、成形や焼成に適した温度まで上げることを言います。
低温発酵した生地をそのまま成形や焼成すると、生地が硬くなってしまうため、必ず復温させ流用にしましょう。
復温させる方法は、以下の2つがあります。
1. 常温に戻す
最も簡単な方法は、常温に戻すことです。
冷蔵庫から出した生地を、室温で30~60分ほど置きます。
生地の温度が25~30℃程度になったら、成形や焼成の準備をしましょう。
2. 温水で戻す
より早く復温させたい場合は、温水で戻す方法もあります。
冷蔵庫から出した生地を、40~50℃程度の温水に、10~20分ほど浸します。
生地が温かくなったら、水気を切って成形や焼成の準備をしましょう。
どちらの方法でも、生地が乾燥しないように注意しましょう。
常温に戻す場合は、ラップをかけて乾燥を防ぎます。
温水で戻す場合は、生地が温水につかないように、ビニール袋などに入れておきましょう。
復温させる時間は、生地の量や温度、室温などによって異なります。
生地の状態を確認しながら、適切な時間で復温させましょう。
サイリウムと米粉パンの関係

米粉パンは、小麦粉に比べてグルテンがないので、膨らみが悪くなることがあります。
また、成形パンの場合はサイリウム(オオバコ)がないと形をつくることができません。
サイリウムを加えることで、生地内の水分を保持しグルテンの代わりに生地をまとめることができるようになるのです。
サイリウムは、アマニやオオバコなどの種子から抽出される水溶性食物繊維です。
水に溶けるとゲル状になり、グルテンと似た性質を持つため、米粉パンの発酵を助けることができます。


米粉パンで低温発酵をするメリット

より美味しく仕上がる

低温でゆっくりと発酵させることで、酵母の活動が抑制され、うまみが引き出されます。
また、水分保持率が高まり、しっとりとした食感になります。
作業時間を短縮できる

米粉パンは、小麦粉に比べて発酵時間が短くても美味しいパンを作ることができます。
低温発酵をすることで、さらに発酵時間が短縮され、作業時間を短縮することができます。
サイリウムの量を減らすことができる

生地を低温で長時間発酵させるため、少量のサイリウムで作ることができます。
サイリウムの量を減らしたい方にはおすすめの方法です。
気泡をたくさん入れることができる

バケットやクッペなどのハードパンはポコポコ気泡があいている方がかっこいいですよね。
低温でじっくり発酵をすることで、気泡が入りやすくなります。
米粉パンで低温発酵をする注意点

米粉パンで低温発酵をする際には、以下の点に注意しましょう。
生地が乾燥しないようにする

低温で発酵させると、水分が蒸発しにくくなるため、生地が乾燥しやすくなります。
こまめにラップをするか乾燥防止シートを使うなどして、生地の乾燥を防ぎましょう。
ラップを二重にして輪ゴムで閉じるなどの対策をとりましょう。
また、冷蔵庫に入れる前には必ず霧吹きで水分を与えるようにしましょう。
発酵の様子をよく確認する

低温で発酵させると、発酵の進行が遅くなるため、発酵の様子をよく確認しましょう。
生地が十分に膨らんだら、復温、成形してオーブンで焼きましょう。
低温発酵で米粉パンを上手に作るために

低温発酵で米粉パンを上手に作るためには、以下のポイントを押さえましょう。
材料の量を調整する

低温発酵をする場合、サイリウムは通常発酵のレシピより減らします。
75%程度まで減らしても大丈夫です。
また、イーストも25%ほど減らすとよいでしょう。
常温に戻してから焼く

冷蔵庫から出したばかりの生地は、すぐに焼くと膨らみが悪くなることがあります。
常温に戻してから焼きましょう。