血糖値が高いと糖尿病になる?
糖尿病は、生活習慣病の中でも特に怖い病気です。
放置すると、重篤な合併症を引き起こし、命に関わることもあります。
しかし、適切な治療や生活習慣の改善によって、血糖値をコントロールし、合併症を防ぐことができます。
今回の記事では、糖尿病の原因、症状、治療法、予防法について、わかりやすく解説します。
糖尿病について不安を抱えていたり、糖尿病の予防に関心がある方はぜひ参考にしてみてください。
糖尿病とは

糖尿病は、インスリンの作用不足やインスリン分泌量の低下によって、血糖値が慢性的に高くなる病気です。
インスリンは、膵臓で作られるホルモンです。
ブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギーとして利用する働きをしています。
糖尿病になると、インスリンの作用が十分に働かなくなります。
その結果、ブドウ糖が細胞に取り込めず、血液中にあふれてしまいます。
血液中のブドウ糖が多すぎると、以下のような問題が生じます。
血管が傷つく

高血糖によって血管が傷つきます。
動脈硬化や糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害などの合併症を引き起こします。
インスリン分泌量がさらに低下する

高血糖が続くと、膵臓が疲れてインスリン分泌量がさらに低下し、糖尿病が悪化する悪循環に陥ります。
糖尿病の種類

糖尿病は、大きく4種類に分けられます。
1型糖尿病
膵臓がインスリンをほとんど、またはまったく作ることができない病気です。
自己免疫疾患が原因と考えられています。
2型糖尿病
インスリン分泌量の低下やインスリン感受性の低下によって起こる病気です。
生活習慣が主な原因と考えられています。
妊娠糖尿病
妊娠中に初めて発症または診断される糖尿病です。
妊娠後に自然治癒することもありますが、再発のリスクが高くなります。
その他の特定疾患
糖尿病の原因となる遺伝子異常や膵臓の病気などによって起こる糖尿病です。
糖尿病の症状

糖尿病の初期症状は、自覚症状がない場合が多いです。
しかし、進行すると以下のような症状が現れることがあります。
- 喉が渇く
- 尿量が多い
- 体重が減る
- 疲れやすい
- 手足のしびれ
- 視力障害
糖尿病の検査

糖尿病かどうかは、血液検査で調べることができます。
主な検査項目は以下の通りです。
- 血糖値: 血液中のブドウ糖の濃度を測定します。
- HbA1c: 過去1~2ヶ月の血糖値の平均的な状態を反映する検査です。
- 尿糖検査: 尿中にブドウ糖が含まれているかどうかを検査します。
糖尿病の治療

糖尿病の治療は、血糖値を下げることを目標としています。
治療法は以下の通りです。
- 食事療法: 糖質やカロリーを制限し、食物繊維を多く含む食品を摂取する食事療法です。
- 運動療法: 週に3~5日、30分以上の運動をする運動療法です。
- 薬物療法: 食事療法や運動療法だけでは血糖値を十分にコントロールできない場合に、薬物療法を行います。
- インスリン療法: 1型糖尿病や、薬物療法で血糖値をコントロールできない2型糖尿病の場合に、インスリン注射を行います。


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糖尿病の予防

糖尿病は、生活習慣の改善によって予防することができます。
糖尿病予防に効果的な生活習慣は以下の通りです。
- バランスの良い食事: 糖質やカロリーを控え、食物繊維を多く含む食品を摂取する。
- 適度な運動: 週に3~5日、30分以上の運動をする。
- 禁煙
- 節酒
- 適正体重の維持
- 十分な睡眠
- ストレス解消

糖尿病の合併症

糖尿病が進行すると、様々な合併症を引き起こす可能性があります。
主な合併症は以下の通りです。
- 糖尿病性網膜症: 高血糖によって網膜の血管が傷つき、視力障害や失明につながる合併症です。
- 糖尿病性腎症: 高血糖によって腎臓の血管が傷つき、腎機能が低下する合併症です。進行すると、人工透析が必要になることもあります。
- 糖尿病性神経障害: 高血糖によって神経が傷つき、手足のしびれや痛み、歩行障害などの症状が現れる合併症です。
- 動脈硬化: 高血糖によって血管の内側にコレステロールなどが蓄積し、血管が狭くなったり硬くなったりする合併症です。進行すると、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなります。
- 糖尿病性足壊疽: 糖尿病によって足先の神経や血管の機能が低下し、傷が治りにくくなり、壊疽を起こす合併症です。進行すると、足の一部分切断が必要になることもあります。
糖尿病の合併症は、早期発見・早期治療が重要です。
定期的に医療機関を受診し、合併症の早期発見に努めましょう。
糖尿病の最新治療

近年、糖尿病の治療法は大きく進歩しています。
従来の食事療法や運動療法、薬物療法に加え、新しい治療法も登場しています。
主な新しい治療法は以下の通りです。
- GLP-1受容体作動薬: GLP-1は、インスリンの分泌を促進し、血糖値を下げるホルモンです。GLP-1受容体作動薬は、GLP-1の働きを模倣することで、血糖値をコントロールします。
- SGLT2阻害薬: SGLT2は、腎臓からブドウ糖を排泄する際に働くタンパク質です。SGLT2阻害薬は、SGLT2の働きを抑制することで、尿糖排泄量を増やし、血糖値を下げます。
- バスタチニブ: バスタチニブは、チロシンキナーゼ2(TK2)という酵素を阻害する薬です。TK2は、インスリンシグナル伝達に関わる酵素であり、バスタチニブを阻害することで、インスリンの働きを改善し、血糖値をコントロールします。
これらの新しい治療法は、従来の治療法よりも効果が高く、副作用が少ないという特徴があります。
糖尿病の治療法は、患者さんの状態に合わせて選択されます。
自分に合った治療法を見つけるために、医師に相談することが大切です。
糖尿病との上手な付き合い方

糖尿病は、完治することはできません。
しかし、適切な治療や生活習慣の改善によって、上手に付き合っていくことができます。
糖尿病と上手に付き合うために、以下の点に注意しましょう。
- 血糖値を定期的に測定する: 血糖値を定期的に測定することで、自分の血糖値の状態を把握することができます。
- 食事療法を継続する: 糖質やカロリーを制限し、食物繊維を多く含む食品を摂取する食事療法を継続することが大切です。
- 運動療法を継続する: 週に3~5日、30分以上の運動を継続することが大切です。
- 服薬指示を守る: 医師から処方された薬は、指示通りに服用することが大切です。
- 定期的に医療機関を受診する: 定期的に医療機関を受診し、医師の診察を受けることが大切です。
- 合併症の予防に努める: 定期的に検査を受け、合併症の早期発見・早期治療に努めることが大切です。
- ストレスを溜めない: ストレスは血糖値を上げるため、ストレスを溜めないようにすることが大切です。
- 禁煙する: 喫煙は糖尿病の悪化リスクを高めるため、禁煙することが大切です。
- 節酒する: 過度な飲酒は血糖値を上げるため、節酒することが大切です。
糖尿病は、決して一人で抱え込む必要はありません。
家族や友人、医療従事者などに相談し、協力しながら、糖尿病と上手に付き合っていきましょう。