パン作りで重要な工程の一つが「発酵」です。
発酵には一次発酵と二次発酵があり、それぞれに異なる目的と方法があります。
今回は、パン作り初心者の方にもわかりやすく、一次発酵と二次発酵の違いについて解説します。
発酵とは?

発酵とは、酵母や乳酸菌などの微生物が糖を分解してアルコールや二酸化炭素を発生させる化学反応のことです。
パン作りでは、酵母が糖を分解して二酸化炭素を発生させ、その二酸化炭素によって生地が膨らみます。
一次発酵の目的や方法

一次発酵は、生地を膨らませてふんわりとした食感にするために行います。
一次発酵では、酵母が糖を分解して二酸化炭素を発生させ、その二酸化炭素によって生地が膨らみます。
また、酵素の働きによって、生地のたんぱく質が分解され、グルテンが生成されます。
グルテンは、生地の弾力や粘りを与える成分です。
一次発酵の方法は、生地をボウルに入れ、室温(25~35℃)で約2~3時間発酵させます。
オーブンの発酵機能を使ってもOKです。
発酵完了の見極め方

ボウルの中の生地が2~2.5倍の大きさになったら一次発酵完了の目安です。
発酵がうまくいかないと、パンの食感や風味に影響が出てしまいます。
そこで、発酵の状態をしっかりと確認することが大切です。

2枚の画像のうち上の画像が適正発酵。
下の画像のものが過発酵になってしまった生地です。
発酵の状態を確認する方法として、フィンガーテストがよく用いられます。
フィンガーテストとは、生地に指を差し込んで、穴がどのように変化するかで発酵の状態を判断する方法です。
フィンガーテストのやり方は、以下のとおりです。
- 生地に打ち粉をします。
- 人差し指を第二関節まで生地に差し込みます。
- 指を抜いたときに、穴がどのように変化するかを確認します。
フィンガーテストの結果
- 穴がすぐに閉じる場合:発酵不足
- 穴が少し残る場合:適切な発酵
- 穴が開いたままの場合:過発酵
フィンガーテストは、発酵の状態を判断する最も簡単な方法です。
パン作りの初心者の方でも簡単に行うことができます
二次発酵の目的や方法

二次発酵は、焼いているときに生地が最大に膨らむようにするための発酵です。
二次発酵では、酵母の働きによって二酸化炭素がさらに発生し、生地が膨らみます。
また、酵素の働きによって、生地の風味や香りが向上します。
二次発酵の方法は、一次発酵を終えた生地を成形し、温かい場所(35~40℃)で約30~40分発酵させます。
二次発酵完了の目安

二次発酵完了の目安は成形した生地が2倍ほどの大きさに膨らんでいる状態です。
生地を指で軽く押し、跡が少し残る程度の硬さになっていれば発酵完了です。
発酵する際の注意点

発酵する際には、以下の点に注意しましょう。
発酵の温度や時間を確認する

発酵の温度や時間は、レシピによって異なります。
また、レシピ通りでも室温や湿度など作業する環境によっても変わってきます。
室温が高い場合は、発酵が進みやすいです。
逆に室温が低い場合、なかなか発酵が進みにくくなります。
失敗を防ぐために、生地の状態をこまめに確認するようにしましょう。
過発酵に注意する

過発酵とは、パン生地の発酵が進みすぎてしまった状態のことです。
発酵時間が長すぎたり、発酵温度が高すぎたりすると起こります。
過発酵になると、生地が以下のような状態になります。
- 表面に大きな気泡が浮かぶ
- 生地が柔らかくなり、弾力がなくなってしまう
- 生地の色が白っぽくなる
- 生地の香りが酸っぱくなる
過発酵になったパン生地は、焼いても膨らみにくく、ふわふわとした食感にならず、パサパサとした食感になってしまいます。
また、焼き上がりに形が崩れやすく、焼き色もつきにくくなります。
米粉パンの発酵との違い

米粉パンは、小麦粉ではなく米粉を使用したパンです。
米粉にはグルテンが含まれないため、発酵の際には注意が必要です。
米粉パンの発酵の際は、以下の点に注意しましょう。
- 発酵は、食パンなどの型物の場合は7〜8割程度。
- 成形する場合は、1.2倍くらい膨らんだらOKなんです。
詳しくは以下の記事で解説しています。



発酵についてお困りの方へ

発酵がうまくいかない場合は、以下の点を確認しましょう。
- レシピ通りに作っているか。
- 発酵の温度や時間が適切か。
- 生地の水分量が適切か。
- 生地に傷がないか。
それでもうまくいかない場合は、発酵の時間を短くしたりしてみましょう。