「酒種」と聞いて、どんなイメージをお持ちですか?
「酒種パンは知っているけど、酒種そのものはよく知らないな」
「天然酵母の一種かな?」
「どうやって作るんだろう?」
酒種は、日本に古くから伝わる、お米を元にした伝統的なパン・菓子酵母です。
ドライイーストや他の天然酵母とは異なります。
独特の芳醇な香りと奥深い味わいを生み出します。
近年、その魅力が見直され、自家製酵母の一つとして注目されています。
今回の記事は、そんな「酒種」について知りたいあなたが、その基本から活用法までを理解できる完全ガイドです。
酒種とは何か?
どのような魅力があるのか?
そして、どのように作られ、どんなものに使われるのか?
酒種の世界を探求して、あなたのパン作りや食生活をさらに豊かにするヒントを見つけてみませんか。
さあ、一緒に酒種の全てを見ていきましょう。

天然酵母とは?自家製酵母の魅力、種類、作り方、パンへの使い方完全ガイド

自家製天然酵母の「作り方」完全ガイド:元種の育て方からパンへの使い方まで【初心者歓迎】
「酒種」とは?日本の伝統的なパン・菓子酵母
酒種(さかだね)とは、炊いたお米、米麹、水などを混ぜ合わせ、そこに自然界の、あるいは加えられた酵母が働きかけることで作られる、日本の伝統的な発酵種です。
すなわちパンや菓子を作るための酵母(天然酵母)のことです。
工業的に純粋培養されたドライイーストなどが普及する遥か昔から、日本の家庭や和菓子屋さんで使われてきました。
特に、中にあんこが入った「酒饅頭(さかまんじゅう)」を作る際には欠かせない伝統的な酵母として知られています。
お米という日本の主食をベースにしている点が、海外のライ麦や小麦を主体とした天然酵母(サワー種やルヴァン種など)と大きく異なる特徴です。

酒種の魅力:独特の「香り」と「味わい」
酒種最大の魅力は、その独特で芳醇な風味にあります。
甘く芳醇、ほんのりお酒のような「香り」
酒種を使ったパンや菓子を焼き上げると、ほんのりとお酒のような、甘く豊かな香りが漂います。
これは、発酵の過程でお米の糖分が分解されたり、アルコール分が生成されたりすることに由来します。
小麦のパンとは全く異なる、日本人にとってどこか懐かしく、食欲をそそる独特の香りです。
奥深い「味わい」:優しい甘みとうまみ
酒種は、パンや菓子に深みのある味わいを与えます。
お米由来の優しい甘みと、米麹の働きによるうまみが感じられます。
サワー種のような強い酸味は控えめで、穏やかでありながらも複雑な風味が特徴です。
このバランスの取れた味わいが、酒種を使った製品を格別なものにしています。
酒種は何に使うの?主な用途
酒種は主にパンや和菓子に使われますが、代表的なものは以下の二つです。
酒種パン(さかだねパン)
近年最も注目されている酒種の用途です。
酒種を使って長時間ゆっくり発酵させたパンは、前述のような芳醇な香りと優しい甘みに加え、「しっとり」「もちもち」とした独特の食感になります。
小麦の風味とは違う、お米の美味しさを感じるパンに仕上がります。
酒種パンの詳しいレシピや作り方については、こちらの記事をご覧ください!

「おうちで本格」酒種パンの基本レシピ:天然酵母の芳醇な香りを自宅で(米粉パン好きにも)

酒饅頭(さかまんじゅう)
酒種の伝統的な用途であり、その名の由来とも言われるのが酒饅頭です。
酒種で発酵させた生地で餡を包んで蒸して作られます。
酒種特有の香りと、ふっくら、もちもちとした生地が特徴です。
この他にも、酒種はその風味や発酵力を活かして、様々なパンや焼き菓子、蒸し菓子に応用されることがあります。
酒種はどうやって作るの?「元種」の育て方
酒種は、一度作れば継ぎ足していくことで継続的に使うことができる「元種(もとだね)」として育てられます。
基本的な材料は以下の通りです。
- 炊いたご飯 または 米粉
- 米麹
- 水
- (立ち上げ時に補助的に少量のドライイーストなどが使われることもあります)
これらの材料を混ぜ合わせ、適切な温度(25℃〜30℃程度が一般的)で管理しながら、酵母と乳酸菌の活動を促し、発酵させて作ります。
最初の立ち上げには数日かかり、その後は定期的に米や米粉、水を加えて継ぎ足し、活性を維持します。
酒種の立ち上げや日々の管理には少しコツがいりますが、自家製酵母ならではの愛着が湧き、パン作りの楽しさが一層深まります。
自家製酒種の詳しい作り方や、元種の育て方・管理方法については、別の記事で徹底解説しています!


他の酵母との違いは?(天然酵母・イースト)
酒種は他のパン作りに使われる酵母とどのような違いがあるのでしょうか。
VS ドライイースト・生イースト(商業酵母)
発酵力と時間
イーストは発酵力が強く短時間で膨らみます。
一方、酒種はゆっくりと時間をかけて発酵します。
風味:
イーストは比較的シンプルで均一な風味です。
一方、酒種は米由来の複雑で芳醇な風味やうまみを持ちます。
VS サワー種・ルヴァン種(欧米の天然酵母)
主原料
サワー種などが小麦やライ麦を主原料とするのに対し、酒種はお米が主原料です。
風味
サワー種は強い酸味が特徴的です。
酒種は酸味が穏やかで、お米由来の甘みやうまみが際立ちます。
文化
日本古来の伝統酵母である点が異なります。
酒種のある暮らしを楽しむ
自家製酒種を育て、それを使ってパンや菓子を作るのは、手間と時間はかかります。
ですが、非常に豊かな体験です。
発酵の過程を観察してみる
酒種から生まれるユニークな風味を楽しんだりする
これらは、スローフードや日本の発酵文化への理解を深めることにも繋がります。
米粉パンのように、お米を活かしたパン作りに興味がある方にとって、酒種は間違いなく探求する価値のある魅力的な存在と言えるでしょう。
酒種は、お米という日本の素材から生まれた、独特の魅力を持つ伝統的なパン・菓子酵母です。
その芳醇な香りと奥深い味わい、そして自家製で育てていく楽しみは、一度知るときっと引き込まれるはずです。
酒種を使ったパンや酒饅頭を味わってみるのもいいでしょう。
さらに一歩踏み込んで自家製酒種作りに挑戦してみるのも素晴らしい経験になるかと思います。。
当ブログでは、酒種の作り方や、それを使った様々なレシピなど、さらに詳しい情報を発信しています。
ぜひ、他の記事も参考にしながら、奥深い酒種の世界を探求してみてくださいね!